ソーラーエネルギー事業の動向

ソーラーエネルギー事業の動向

ソーラーパネルは節電やエコの意識が強くなった頃より需要が広がりました。また2009年より余剰電力倍額買取制度が開始してから更に、ソーラーパネル の意識が強くなり設置する人が今も増え続けています。
需要が広がるにつれて、年々「設置費用」そのものは下がってきており、一昔前から考えますと「良い製品」を「手の届く費用」で設置できるようになりました。

今から5年前「計画節電」が行われる前の話です。東京電力福島第一原発が爆発事故を起こす事件がありました。原子炉がメルトダウン(炉心溶融)し、大量の放射線物質を環境中に放出しました。この出来事が国民の間では原発が悪であり、再生可能エネルギーが善であるという認識を強めました。そこで「火力発電で停電を回避し、将来は再生可能エネルギーに」という意識が高まり、すでに商業利用が大きく進んでいた太陽光発電と風力発電に、電源構成の主役を原発から再生可能エネルギーにシフトさせてくれるという期待がよせられました。


そして、2011年に話題になったのが再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)です。翌12年7月に始まっています。制度発足を前にしてさまざまな企業が大型太陽光発電所(メガソーラー)による売電事業への参入を表明しました。特に熱意を見せていたのがソフトバンク(現:ソフトバンクグループ)でした。
グローバルIT企業にとっては、電力の確保は死活問題です。さらに、温室効果ガス削減への国際的な関心の高まりに応じるため、再生可能エネルギーへシフトする動きが加速されました。

太陽光発電協会(JPEA)調べの太陽電池総出荷量は、FIT制度が始まった12年度は437万kWでしたが、13年度は862万kWで1年間で約2倍になり、14年度はさらに伸びて987万kWに達しました。単純に出力で比較すると「世界最大の原発」東京電力柏崎刈羽原発の総出力821.2万kWをしのぎます。「グリーン&クリーン」「地球にやさしい」など再生可能エネルギーの好イメージに支えられ、太陽光発電には期待の眼差しで注目を集められていました。


しかし、そんなキラキラとした時代はアッという間に過ぎ去ってしまいました。
太陽光発電は、燃料のようなランニングコストは安くてもパネルや設置工事など初期投資(イニシャルコスト)の負担が重く、当初は出力あたりの発電コストがどうしても高くなります。それを補う意味もあり、FIT制度では太陽光パネルで発電した電力を電力会社が買い取る買取価格を、初年度の12年度は1kW/時あたりメガソーラーなど企業向が40円、家庭向(10kW未満)が42円と、高めに設定していました。 これは新規参入企業をさらに呼び込みましたが、発電コストがアップする電力会社は不満をもちました。

経済産業省が決めるFITの買取価格は初年度こそ高かったですが、あとは年々引き下げられていき、5年目の16年度は企業向けは24円で初年度よりも40%減、家庭向け(出力制御対応機器設置義務あり/ダブル発電を除く)は33円で初年度よりも21.4%減と、大きく減らされてしまいました。この買取価格低下が太陽光発電に関わる企業の採算を悪化させていました。太陽電池総出荷量も15年度は795万kWで前年比19.4%減です。太陽光発電の右肩上がりの成長も終わりを告げたのでした。

多くの企業が採算の悪化に悩まされながらも、今なお太陽光発電は続いております。太陽光発電が無くなることなく現在でも続いているということは、今後も活用される機会があるということです。世界的、長期的に見れば、最重要電源になるとまだまだ期待されています 。